世田谷の川探検隊

野川 (の-がわ)

国分寺市の水源を基点とする流れに、国分寺崖線のハケから湧き出す多くの水が集まってきます。

水源地・恋ヶ窪・日立中央研究所 〜4月

2004年4月11日。
国分寺市東恋ヶ窪の日立製作所中央研究所の庭園公開に行ってきました。


研究所の正門奥にある返仁橋(へんじんばし)
この橋の下には南北に大きな谷が走っており、これがおそらく最も忠実に天然の姿を残した水源です。
それにしてもこの橋の名前って‥‥。


1942(昭和17)年設立というこの研究所。敷地面積は東京ドームの約5倍とのこと。
起伏に富んだ武蔵野の地形が丸ごと残されています。
戦後人工的に作られたという大池は、もちろん構内の湧水を集めたもの。
戦時中はここでイモなどを作っていたんだそうです。


構内のいたるところで湧く水。
それを導く水路があちこちに穿たれています。
大池の南端には大きな水門が。


大池の南端。ここで構内の湧水が合流して、野川に注ぎます。


野川に通じる水路。
大池からの最終放流量は、豊水期には毎分10万リットル。渇水期でも毎分400リットルといいます。
水量だけでなく、phのチェックなどが毎日行われているとのこと。
水路の中には、上から降りてくるマンホールらしきものも見えます。


水源地・恋ヶ窪・日立中央研究所 〜11月


2004年晩秋の恋ヶ窪。豊富な水と紅葉が見事です。


4月には空堀だった場所にも澄んだ水が流れていました。


研究所の周辺一帯


研究所とJR中央線の境界の谷。
いちばん低くなっているところの地下に、大池からの水路が通っています。


押切橋。研究所から流れ出たばかりの野川にかかる、最初の橋です。


水量が少ないのは季節のせい。

恋ヶ窪用水


一方、研究所の西側、西恋ヶ窪には復元された用水が流れています。

姿見の池


平成13年に復元された水源池。
実際にはJR武蔵野線のトンネルから湧いた水がここに満たされているのだそうです。

西恋ヶ窪1丁目


姿見の池から流れ出た水路。
民家の庭先には空堀が残り、玄関前に橋が作られていました。


橋の痕跡。
水路だった部分は埋められて、マンホールが。 草の緑がきれいでした。


真姿の池 と お鷹の道


もうひとつの野川の水源となっているのが、この一帯の湧水群。
崖下の湧水を汲む人、遊ぶ人。

現在は「飲用には不適」とされています。
※ 日本地下水学会の見学会で説明を受けました。


湧水ポイントの近くにあるのが真姿の池。
池の中央には弁財天が祀られています。


カルガモのほか、カワニナ、アブラハヤなどを見ることができました。


近くの子どもがザリガニ釣りをしていました。ご覧のとおりの豊作。
つけている餌は、鮭の皮ですって。


近くには空堀がいくつも見つかります。雨の多い季節にはここにも水が流れるのかな。


不動橋


東仲町3丁目26先(三鷹市)。
野川本流とお鷹の道湧水群の流れが合流するところにある小さな公園。
レンガ造りの古い水路が保存されています。


散った桜でほんのりと薄化粧された開渠。

もみじ橋。
ただし、ざっと見た限りでは周囲に紅葉する樹木はなさそうなんですが‥‥。

洪水に備える 〜国分寺市南東部


東元町1丁目36。このあたりから川岸を歩けるようになります。


ただし、とっても狭かったりしますのでご注意を。


このあたりの橋には、洪水対策の引き戸式のシャッターが装備されています。


ブロック塀の穴も塞いであります。(上下2段ある下のほう)


ガードレールも脚部がコンクリートで埋められています。

水と親しむ 〜小金井市内


貫井南町4丁目24先。ここから下流は土の河原が広がります。

新次郎池


湧水が急勾配を下ってくる くらぼね坂。


その源は東京経済大学の構内。
周囲の5か所から湧いた水が池になっています。

貫井神社


崖下に位置する貫井神社の本殿周辺にも湧水が。
境内に大きな池を作っています。
かつてはここに湧水を集めたプールがあったそうで、それを記念した石碑が残っていました。


こちらは野川本流。
このあたりからは水辺に降りることができるようになっています。

滄浪泉園


明治時代に作られた別荘地を庭園として保存したもの。
敷地全体が崖線の斜面にあり、ハケから出た水が池になっています。



野川本流の流路沿いには、ハケからの流れを利用した遊歩道が何本も造られています。



前原町3丁目、小学校の校庭地下を横断する野川。
小学校の南に残る旧水路は、増水時の予備水路として整備が進められていました。


通常は遊歩道として通行できます。


しばしネコと歓談。


前原町4丁目23先。旧流路が本流に合流しています。

都立武蔵野公園


なんとなんと、このあたりで川の水がすっかり消えてしまっていました。
湧水量の少ない季節ゆえでしょうが、なんだかさびしい野川です。

都立野川公園


ここで東岸のハケからたくさんの湧水が注ぎ込み、ふたたび流れが復活します。

三鷹市〜調布市


日が暮れてきました。
あちこちに旧水路を利用した公園が残っています。


調布市深大寺元町。中央高速をくぐります。
世田谷まではもう少しなんですが‥‥まだまだ先は見えません。

国分寺崖線からの湧水を集めながら流れる野川は、この下流、喜多見と成城で世田谷区に入ります。

TOP
このサイトは?

川・川跡を歩く

烏山川
烏山川支流
北沢川
北沢川支流
目黒川
蛇崩川
蛇崩川支流
呑川
呑川支流
谷沢川
谷沢川支流
九品仏川
丸子川
谷戸川谷川
野川
仙川
仙川支流
入間川
清水川
町田川

用水を歩く

玉川上水跡
分水跡
品川用水跡
三田用水跡
分水跡
六郷用水跡
二ヶ領用水
分水跡
府中用水 (準備中)
大丸用水 (準備中)

越境、脱線と発見

渋谷川古川
笄川
いもり川
宇田川
河骨川
ほか支流
神田川笹塚支流
渋谷町水道

なかがき
謝辞・参考文献


inserted by FC2 system